科目合格制度

科目合格制度を活用しよう

診断士一次試験には、科目合格制度という制度があります。

科目合格制度を利用することにより、計画的な合格プランを建てることができます。

科目合格制度はなかなか学習時間を確保できないという方に特にお勧めです。

科目合格制度とは?

・まずは科目合格制度について確認していきましょう。

科目合格をした科目が翌年、翌々年の一次試験で受験が免除される制度です

・一次試験の合格基準は、全科目の合計得点が6割以上かつ4割未満の科目が一つもないことです。

・科目合格制度は、仮に合計得点が6割に届かなかったとしても、6割を超えていた科目については翌年、翌々年の受験が免除される制度です。

例えば、一次試験の結果が以下の通りだったとします。

科目得点
経済学・経済政策46点
財務・会計64点
企業経営理論43点
運営管理48点
経営法務56点
経営情報システム64点
中小企業経営・政策70点
合計391点

全科目で6割(420点)には届いていませんので、試験全体としては不合格ですが、6割を超えている財務・会計、経営情報システム、中小企業経営・政策の3科目については、翌々年まで受験が免除されます。(無条件で60点として扱われます。)

この制度を上手く利用すると、以下のような合格方法が可能です。

科目翌年翌々年
経済学・経済政策62点(科目合格)免除(60点)
財務・会計免除(60点)免除(60点)
企業経営理論50点70点
運営管理52点52点
経営法務64点(科目合格)免除(60点)
経営情報システム免除(60点)免除(60点)
中小企業経営・政策免除(60点)免除(60点)
合計408点(不合格)422点(合格)
大抵の受験生が2年以内で一次試験を突破してきますので、やや極端な例ですが、科目合格制度を上手く使えば、計画的に一次試験を通過することができます。

忙しくて診断士を諦めている方に特にお勧めです

・診断士は通常、合格までに1,000時間は学習時間が必要と言われます。(一次試験:720時間+二次試験:180時間)

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時計

・1年間で一次試験を合格しようとすると、1週間当たり約14時間となり、働きながらや家事・育児をしながらだとかなりハードルが高くなります。

・ところが、一次試験を2年間かけて合格しようという計画を立てれば、1年あたり360時間1週間当たり約7時間です。

1週間で7時間であれば続けられそうな気がしませんか?

合格しやすくするために設けられた制度です

・必要学習時間と受験者層(大半が社会人)を考慮して、より合格しやすくなるように設けられたのが科目合格制度です。

科目合格のデメリットは?

個人的には全く無いと思いますが、以下の2点がデメリットして挙げられることがあります。

①得意科目で点数を稼げなくなる
②残した科目が地雷科目に当たると合格点を取れなくなる
・ですが、これをデメリットとして捉えているようでは、そもそも二次試験で太刀打ちできません。

①得意科目で点数を稼げなくなるについて

・得意科目で点数を稼ぐということは、裏返すと、苦手科目(=6割を超えられない完成度の科目)があるということです。

・一次試験の科目は、好き嫌いはあるにせよ、基本的にはちゃんと勉強をすれば6割を超えられます。

・二次試験との関連度合いに濃淡はありますが、全科目で6割を超えられる実力を身に付けるべきですし、そうでない科目がある状態で一次試験合格を目指すというのはもはやギャンブルです。

・得意科目が地雷科目だった場合には、得意科目で点数を稼いで苦手科目を補うというプラン自体が破綻することになります。

②残した科目が地雷科目に当たると合格点が取れなくなるについて

・診断士一次試験では、合格者の調整をするため、7科目のうち1~2科目は極端に難易度が高い出題がされます。

・通称これを地雷科目と呼びます。

極端に難易度が高い場合でも、得点調整により、難易度が調整されます。
つまり、しっかりと対策をした受験生は、ちゃんと合格できるように調整されます。

確実に6割ラインを越えられる実力を身に付けよう

診断士試験は勘や運で合格できる資格ではありません。

・確かに一次試験は絶対評価で択一式ですのでそういった側面も否定できませんが、二次試験は論述式で相対評価です。

・6割をしっかりと取れる実力が無い状態で一次試験に合格したとしても、二次試験で苦しむことになります。

確実に6割ラインを越えられる実力を身に付けましょう
時間が足りないという方は、計画的に科目合格制度を利用しましょう

お勧め科目合格プラン

周辺科目かつ暗記型科目を先に合格しましょう

・二次試験との関連性が薄い、①経済学・経済政策、②経営法務、③経営情報システム、④中小企業経営・政策の4科目のことを周辺科目と言います。

・また、詰め込みでも対応可能な①運営管理、②経営法務、③経営情報システム、④中小企業経営・政策の4科目のことを暗記型科目と言います。

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一次試験3つの科目別タイプ

・複数年で一次試験を合格する計画の場合には、まずは周辺科目かつ暗記型科目である、①経営法務、②経営情報システム、③中小企業経営・政策の科目合格を目指しましょう。

周辺科目を先に合格してしまえば、翌年は一次試験対策+二次試験対策を並行して進めることができるため、一気に合格への道が拓けます。

一次試験本番まで残された時間が少なくても科目合格を狙うこと

・一次試験の申込期日は例年5月末迄です。

・一次試験は通常8月第一週の土日に行われます。

・学習時期によっては一次試験そのものの合格を狙うことは困難かもしれませんが、1~2教科なら科目合格は狙えます。

・一次試験本番までの時間が少なかったとしても、是非科目合格を狙ってください。

・翌々年までその科目の受験が免除されるというのは診断士試験合格に向けて大きなアドバンテージになります。

一次試験の各科目は大体100時間程度あれば6割ラインを越えられます。
残り2~3ヶ月で100時間であれば出来そうな気がしませんか?
①科目合格制度はとても有効な制度なので、是非活用しましょう。
②お勧めは二次試験と関連が薄い周辺科目かつ暗記型科目である経営法務、経営情報システム、中小企業経営・政策を先行して合格することです。
③一次試験まであまり時間が無かったとしても、科目合格を狙いましょう。