・得点開示請求の結果、実際の得点は83点でした。
・二次試験の解法のポイントを解説していますので、実際の試験問題でどのように活用するか参考にしてください。
二次試験は4事例全て制限時間80分です。80分という限られた時間の中で合格答案を作り上げるために何をすべきなのか。今回は試験時間80分の使い方について解説していきます。今回解説するのは、事例1~3についてです。事例4は例[…]
設問の確認(約10分)
・まず最初にすべきことは設問の確認です。
・設問を読み進めながら、①配点の確認、②設問要求の確認、③解答文字数の確認、④設問構造の確認を行います。
配点の確認
・大問が4つ、配点を確認すると各25点。
・各設問の配点が大きいのでちょっとしたミスが命取りになりそうです。
設問要求の確認
・第1問から順番に設問要求の内容を確認してきます。
・設問要求=問いかけ+制約条件です。
以前、「合格答案を作るためには、「一貫性」「合理性」「明瞭性」「具体性」を満たした解答を作ることが重要である。」と解説しました。[sitecard subtitle=関連記事 url=https://consul-circle.com/[…]
第1問
第1問(配点25点)
B社の現状について、3C(Customer:顧客、Competitor:競合、Company:自社)分析の観点から150字以内で述べよ。
・設問で用語の解説が記載されていますので、3Cという用語そのものの知識を問われているのではなく、あくまでも3Cの観点から環境分析を行いなさいという指示です。つまり、SWOTです。
・与件文からMECEに情報を収集することが求められます。
・一次知識です。
・3C分析とは、外部環境及び自社自身を分析することによって、競合を避け自社の強みを活かせる領域を探すフレームワークのことです。
・平成26年度事例2旅行業者の事例で一次知識であるPPMをダイレクトに問う問題が出題されていましたが、今後も一次試験の知識を問う出題は続くと思われますので、二次試験の対策に加えて一次知識の復習が重要です。(特に複数年受験者の方で一次試験から期間が開いてしまっている方は注意が必要です。)
・このように、一つの設問で複数の問いかけをされている場合には、それぞれの問いかけに対する解答が同じくらいの文字数になるように解答を作成することが鉄則です。
・特定の問いかけの解答文字数が極端に多かったり、少なかったりする場合には、冗長な文章になっているか、必要な要素を盛り込めていない可能性が高いです。
・今回の場合には、顧客、競合、自社それぞれで50字を目安に解答することを心掛けます。
第2問
第2問(配点25点)
B社は今後、新規宿泊顧客を増加させたいと考えている。そこで、B社のホームページや旅行サイトにB社の建物の外観や館内設備に関する情報を掲載したが、反応がいまひとつであった。B社はどのような自社情報を新たに掲載することによって、閲覧者の好意的な反応を獲得できるか。今後のメインターゲット層を明確にして、100字以内で述べよ。
・複数の制約条件があるということは、解答の方向性が細かく制限されている=解答のヒントになる可能性が高いです。
・制約条件は以下の通り読み取ります。①「新規宿泊客を増加させたい」
・結果的に新規宿泊客の増加に繋がる内容でないと評価されません。②「外観や館内設備に関する情報を掲載したが反応がいまひとつ」
・外観や館内設備について解答しても評価されません。③「どのような自社情報を」
・解答すべきはあくまでも「自社情報」であって、X市の歴史や観光情報を解答しても評価されません。④「今度のメインターゲット層を明確にして」
・メインターゲット層を明確にして、そこに対しどのような情報を発信していくかということです。B社の今後の方向性を意識しないと各解答の一貫性が失われてしまい、説得力のない解答になってしまいます。
第3問
第3問(配点25点)
B社は、宿泊客のインターネット上での好意的なクチコミをより多く誘発するために、おもてなしの一環として、従業員と宿泊客との交流を促進したいと考えている。B社は、従業員を通じてどのような交流を行うべきか。100字以内で述べよ。
・「おもてなし」や「交流」というキーワード、第2問がB社のハード面の強みを効果的に発信していく方法を問われていると考えられることから、この問題ではソフト面、つまり従業員のサービスを問われていると考えます。
・設問には書かれていませんが、第2問で設定したターゲットを意識して解答する必要がありそうです。
第4問
第4問(配点25点)
B社は、X市の夜の活気を取り込んで、B社への宿泊需要を生み出したいと考えている。B社はどのような施策を行うべきか、100字以内で述べよ。
・「X市の夜の活気を取り込んで」とあることから、地域と協力して若しくは地域資源を利用してということになります。
・合同でイベントを実施してB社、地域双方に好影響を及ぼす施策を提案するという方向性で解答ができないか意識しながら問題を読み進めます。
・重要なのは、B社だけが得をするのではなく、結果的に地域へも好影響を及ぼすという考え方です。
・大手に比べて経営資源に劣る中小企業が、地域住民や周辺中小企業と協力して地域を盛り上げていこうという発想は、二次試験事例2の出題委員である岩崎邦彦氏の基本的な考え方です。
解答文字数の確認
・次に解答文字数を確認します。
・合計450字ということで例年よりもかなり少ないですね。
・方向性の判断を誤ると大量失点に繋がりそうです。
・通常より与件の整理に時間をかけ、ミスが無いように取り組む必要があります。
設問構造の確認
・設問構造を考えます。
・第1問が環境分析(SWOT分析)
・第2問で今後のメインターゲット層の設定、ハード面の発信方法を問われています。
・第3問は第2問で設定したメインターゲット層に対し、どのようなサービスをするか、ソフト面が問われています。
・第4問は地域との関係です。
・第2問で設定したメインターゲット層に対し、B社の強みやを地域資源を活かしてどのようなマーケティングを展開していくか、ということを全体で意識していくことが重要です。
与件文の確認(約40分)
・ここから与件文の確認に入っていきます。
・設問を確認した際のチェックポイントを意識しながら読み進めていくことが重要です。
与件文のチェックポイント
・段落毎にチェックすべきポイントを解説していきます。
第1段落
1行目「老舗」
・「歴史」や「伝統」のように長い時間を掛けて作り上げられたものは、模倣困難性が高く、他社との差別化要素になりやすいです。
5行目「英語に堪能な従業員」
・あえてここに書かれているのはもの凄い違和感ですね。
・違和感のある文章は要チェックです。
・この時点で外国人観光客がターゲットになりそうな気がします。
7行目「裏手には大型バス1第、乗車6台分の駐車場がある。」
・これも違和感がある文章ですね。
・平成21年事例2スポーツ用品店の事例において銭湯と共同事業を行うにあたって、空地を活用するというような論点がありましたので一応チェックです。
・違和感のある文章は出題者からのヒントです。
・解答に盛り込んで欲しい、若しくは、全体の方向性を示唆するために、敢えて違和感のある表現を使うことで、受験生の注意が向くようにしています。
第2段落
2行目「夕食を館内でとりたいという要望」「地元の割烹料理店からの仕出し」
・要望=ニーズですね。顧客ニーズは要チェックです。
・地元の割烹料理店というキーワードから外部資源をうまく活用できないかということを考えます。第4問のヒントになりそうです。
5行目「築45年」「手を加えていない」
・B社には老朽化という弱みがあります。
・中小企業にとって投資は容易に出来るものではありませんし、競合が新築のホテルを建てれば対抗することはできません。
・「老朽化という弱みをいかに強みに変えるか」という発想が診断士に求められる戦略であり評価される解答です。
7行目「和の風情がある苔むした庭園」
12行目「文化の香りに満ちた雰囲気である」
・これも違和感が凄いです。
・ここまで書いているということは、明らかにB社の強みです。第2問の解答の要素になりそうです。
12行目「海外でも名の知れた作家や芸術家」
・「英語に堪能な従業員」というキーワードと、この文章を考慮すると、外国人観光客がメインターゲット層の最有力候補になりそうです。
8行目「徒歩圏内」、「空港に向けて、毎日7往復の直通バス」
・B社は観光地へのアクセスが良い場所に立地しています。
・最寄り駅からは離れていますが、空港からのアクセスは良いので、空港を利用する外国人観光客にとってポジティブな内容です。第2問で発信する要素になりそうです。
第4段落
5行目「見物客は近年、年々増加している。」
・見物客もターゲット候補になる可能性があるので、一応チェックです。
7行目「普段遣いのお店から料亭、割烹料理店…」
・X市にある様々なタイプの店舗が列記されています。これらの店舗と連携して何かサービスを提供することはできないかと考えます。
・第4問のヒントになりそうです。
第5段落
1行目「10年ほど前、…。」
・地域の変化について詳細に書かれているので、地域資源を活用してという第4問の解答の方向性は正しそうです。
第6段落
6行目「食べ歩きできるスイーツ」、「地域の伝統を思わせる和菓子」、「写真映え」、「SNS投稿」
・第3問のヒントになりそうです。
8行目「和の風情を求めるインバウンド客が急増している」
・メインターゲット層はインバウンド客で確定ですね。
第7段落
4行目「無料のWi-Fiを導入し」
・Wi-Fiを導入するメリットとして、その場で情報発信を行えるということがあります。第3問を考える上で参考になるかもしれません。
5行目、6行目「外国語」
・外国語対応ができるのは強みです。
・「外国語」というキーワードが2回出てくるということは、これはヒントですよ。という出題者からのメッセージです。
7行目「宿泊客は…」
・第1問の「顧客」の情報です。
9行目「事前に予約のない客が宿泊することはほとんどない」
・飛び込み客はいないということは、事前に予約が必要な提案をしないと宿泊客の増加には繋がらないということです。
・第4問で地域資源と宿泊をセットにしたパッケージツアーの提案という切り口を思いつきました。
第8段落
1行目「B社から距離の…」
・第1問の「競合」ですね。これをシンプルにまとめれば良さそうです。
2行目、3行目、5行目「大規模な投資は当面避けたい」、「値上げにも着手したくない」、「経営刷新して営業を継続したい」
・社長の想いですね。
・二次試験において社長の想いは重要です。社長が投資したくないと思っているのに、設備改修を提案しては、全く的を得ていない解答になってしまいますよね。
・経営理念、経営ビジョンと合致しない解答は一貫性が無く、評価されません。
第9段落
5行目「喜びの声」
・喜びの声というのは成功体験です。
・過去の成功体験は今後も活用していくべきです。第3問や第4問のヒントになりそうです。
図表
・図表が掲載されていますので念の為チェックしておきます。
・図表はあくまでも与件文の補足資料でしかありませんので、ここで時間を掛ける必要性は全くありません。
・この図表から読み取るべきは、「インバウンド客が増えている=今後のターゲットにすべき」ということだけで、「2013年に比べて7倍近くに増加している」というような数値の分析は必要ありませんし、解答に盛り込む必要もありません。
※後日解説します。
B社のあるべき姿、目標とすべきゴールを考える
・B社のあるべき姿、目標とすべきゴールを考えることにより、一貫性のある解答を作り上げます。
といったところでしょうか。
一通り与件文の確認が終わったところで試験開始から約30分
与件文を見直しながら解答の骨子を作っていきます。(約20分間)
残り30分 解答を書き出します。
【私の再現答案】
・最後に私の再現答案を掲載しておきます。
・得点開示請求の結果は83点でしたので、方向性、解答すべき要素ともほぼ満たされているということです。
・個人的にも80分という時間の中で作り上げることを考えるとベストな解答だったと思います。
第1問
・与件文から素直に抜き出すとともに、インバウンド客に効果的なプロモーションを行うために活かせるB社の強みという第2問との関連性を意識して解答しました。
第2問
・メインターゲットであるインバウンド客に発信する内容として効果的なものはなにか、という視点で解答しました。
・外国語でというのはポイントになっていそうです。
・二次試験に置き換えると、ターゲットを問われた場合には、与件文から読み取れる無理のない範囲で具体的に解答する必要があるということです。
・この設問でも、単に「インバウンド客」と答えただけでは低評価だと思います。ラグジュアリーホテルに泊まりたいインバウンド客や、買い物がメインで和の風情に興味が無いインバウンド客はB社のターゲットにはならないからです。
第3問
・入れたい要素が多く、時間内に絞り切れなかったため、全て記載することにしました。
・「外国語」でというのが解答のポイントです。
第4問
・地域連携を意識しているということを伝えるために、「地域ボランティア」というキーワードを入れました。
・大浴場が無い弱みを克服するために、銭湯を案内して宿泊という流れを入れたかったのですが、時間内でうまく表現できませんでした。
以上、参考になれば幸いです。
※転載を希望される方はTwitterからご連絡ください。
※その他の再現答案
私が受験した平成30年度二次試験事例1の再現答案を掲載いたします。 実際の得点は70点でした。各事例の解き方については後日アップさせていただく予定です。学習の参考になればと思い、再現答案だけではなく受験日当[…]
・私が受験した平成30年度事例3の再現答案を掲載します。・得点開示請求の結果、実際の得点は71点でした。・二次試験の解法のポイントを解説していますので、実際の試験問題でどのように活用するか参考にしてください。※こちらの記事も参考[…]
今回は私が受験した平成30年度二次試験事例4の再現答案を掲載させて頂きます。他の事例についても再現答案を掲載していますが、事例4に関しては、他の事例と掲載した目的が異なります。事例1~事例3の再現答案を掲載した目的は主に[…]
※二次試験対策目次(目次順に読んで頂くと学習効果がより高まります。)
二次試験対策 目次 二次試験対策の記事を一覧化しています。まずはこのページから確認して頂き、概要から順番に確認頂くと効果的な学習に繋がります。記事を書く毎に順次追加していきます。 […]