英文問題

【経営法務】英文問題の対策方法~最小限の努力で正答率を高める~

経営法務では例年英文読解に関する問題が1~3問出題されます。

なぜ英語が出題されるのか?と思いますが、中小企業もグローバル化している中、中小企業診断士としてある程度は対応できるようにということだと思います…。

基本は対策不要

基本的に英文問題の対策は不要です。

・英文問題対策=英語力の向上となってしまうため、対策をしようとすると膨大な時間が掛かることとなり現実的ではありません。

意外と配点は大きい

・英文問題は毎年必ず出題されており、少ない年で1問、多い年は3問出題されます。

・配点は多い時で10点という年もありました。

・英語が苦手な方は捨てる覚悟で臨むしかないのですが、難化傾向の経営法務において10点捨てるというのはなかなか勇気がいる決断です。

最小限の努力で正答率を高める

・英文問題を確実に正答することは困難ですし、まともに対策をしようとするとコストパフォーマンスが極めて低くなります。

・理想は、最小限の努力で正答率をできるだけ高めることです。

・今回は、英文問題の対策方法を2つ解説致します。

・この解説をしっかりと理解して、それでも対応できない問題が出題された場合には、諦めて次の問題に進みましょう。合否には影響しません。

英文問題の対策方法

①ポイントを絞って暗記する
②英文ではなく、問題文で正否を判断する

①ポイントを絞って暗記する

・基本的な対策方法は英語の暗記ですが、過去問や模試で出題された単語を全て覚えていてはキリがありません。

・重要なのは、おおよそ何が書いてあるかを判断することが出来るキーワードにポイントを絞って暗記することです。

・経営法務の英文読解問題は、英語力そのものを試す問題ではありません

文法や単語力が曖昧だったとしても、何となく書かれている文章の内容が分かれば正答を導き出すことができます。

・過去出題された表現や英文契約に特徴的な表現をまとめましたので参考にしてください。

(1)契約書の条項によく使われる単語

Article XX ●●:「第XX条 ●●」

・ほとんどの問題の頭書きで見かける表現です。

・後ろの●●に入る単語によって、その条文が何を規定しているか分かります。

・Confideniality であれば「秘密保持」について、Non-competition であれば「競業禁止」について規定されています。

Confidentiality:「秘密保持」
Duty of Confidentiality:「秘密保持義務」
Force Majeure:「不可抗力」
Governing Law:「準拠法」
Obligations after Termination:「契約終了後の義務」
Term of Agreement:「契約期間」
Termination:「契約の終了」

 

 (2)契約書によく使われる表現

and/or:「両方ともまたはいずれか一方」
giving a written notice:「書面による通知」
in no way:「いかなる場合も(~しない)」
must endeavor to ~:「するよう努めなければならない」
provided for in the  preceding  paragraph:「前項に規定する」
provided,however,that this shall not apply ~:「但し、~は、この限りでは無い。」
represents and warrants that ~:「~を表明し保証する。」
 shall not preclude ~:「~することを妨げない」
without prior written consent:「書面による事前の同意無しに」

 

(3)契約書によく使われる単語

approval、permit:「許可、承認」
breach:「違反」
Conflict of interests:「利益相反」
obligation:「義務」
obtain:「手に入れる」
prejudice、infringe:「侵害」
termination:「(期間等の)終了、満期」
other party:「相手方」
party concerned:「当事者」
performance:「履行」
non-performance:「不履行 」
disputes:「紛争」
proprietary right:「所有権」
intellectual property right:「知的財産権」
patent:「特許」
claim:「請求」
corporate reorganization:「会社更生」
failure to perform:「契約不履行」
liquidation of a company:「会社清算」
bankruptcy:「破産」
written notice:「書面による通知」
immediate:「直ちに」
confidential:「機密の」
contract:「契約、請負」
provide:「規定する」
burden of proof:「立証責任」

②英文部分ではなく、日本語部分で正否を判断する

・英文問題は、条項部分は英文で記載されていますが、頭書きや選択肢は日本語で書かれています。

・この部分を熟読し、その他の経営法務の知識と組み合わせれば、英文を全く読めなかったとしても、正答を導き出せることがあります。

例:平成26年度第15問設問1

例えば平成26年度の第15問設問1

英文だけで1ページ使っている長文問題だったのですが、内容が分からなかったとしても、選択肢の内容から解答を推測することができました。

平成26年度 経営法務 第15問(設問1)

この秘密保持条項の規定の内容として、最も不適切なものはどれか。

・秘密保持条項とは、製品の技術情報等一般的には公開されていない重要を第三者に開示する際、情報を開示する企業(開示者)と開示を受ける企業(受領者)との間で締結される条項です。

①どのような情報が秘密情報に該当するのか?(秘密情報の定義)、②秘密情報から除外される例外は何か?(例外事項)、③秘密情報の取り扱い(使用目的)、④条項の内容に違反した場合の責任といったような内容を取り決めています。

・これら秘密保持条項に関する予備知識があれば、英文を読まなくても問題は解けます。

選択肢毎に確認していきましょう。

ア 受領者の本契約違反によらず公知となった情報は、秘密情報に該当しない。

・秘密保持条項は、文字通り「秘密」の情報の取り扱いについて取り決めるものです。

公知になった情報はであれば、わざわざ秘密保持条項で保護する必要性はないのではないか、と考えればこの選択肢は正しそうです。

イ 秘密情報を利用せずに独自に受領者が開発した同一の情報は、秘密情報に該当するが、開示しても秘密保持義務違反にならない。

・自ら開発した情報まで秘密情報に含まれる(利用等について制限を受ける)というのは、さすがに範囲が広すぎではないでしょうか。

・自社の力で開発をしたのにも関わらず、秘密保持条項に自由に使えなくなってしまうような片務的な内容であれば、誰も契約書にこの条項を盛り込まないでしょう。

・秘密情報に該当するのに、第三者へ開示しても良いというのも矛盾を感じます。

かなり怪しい選択肢です。

ウ 法令又は政府の命令を遵守するために開示を要求される秘密情報は、秘密情報に該当するが、開示しても秘密保持義務違反にならない。

・例えば捜査等で法律や政府から情報の開示を求められた場合、開示を拒むのは難しいというのは感覚的に分かるかと思います。

その場合に義務違反になってしまうというのはさすがに厳しすぎますので、この選択肢は正しそうです。

エ 本条の秘密情報の要件として、開示時に秘密指定を行う必要があるが、その秘密指定が特定の限定された方法によるものであることは必要でない。

・理解しづらい選択肢ではありますが、要するに開示者が受領者に対して情報を開示する際、それが秘密情報に該当するか否か受領者に伝えないといけないが、その伝え方は、口頭でも、書面でも、メールでも良いということです。

・開示する情報が秘密情報に該当するかどうかということを都度伝えないと混乱が生じてしまいますし、伝え方を、例えば書面のみに限定してしまうと実務上煩雑になります。

・明確に正しいとまでは言い切れませんが、イの選択肢に比べればまだ自然な選択肢だと思われます。

 

以上からイの選択肢が誤っている可能性が最も正しいのではないかと判断します。(正解はイでした。)

いかがでしょうか?

英文を見なくても正答できる可能性があります。

英文に圧倒されないこと

・目に入った英文に圧倒されて、最初から諦めないように心掛けましょう。

・分かる単語を見つける、選択肢の日本語をよく読むことで対応できることが多々あります。

以上、参考になれば幸いです。