その中でも機関設計は強制設置や条件付強制設置、公開会社と非公開会社、大会社と非大会社等々、覚えるのがとても大変です。
今回は、簡単な基本設計の覚え方を解説していきます。
機関設計の覚え方
step1 まずはこの基本図形を覚えよう
この暗記法では下の図形を使います。
まずはこの図形を書けるように暗記しましょう。
①最下段が株主総会、二段目が取締役、三段目が監査役、最上段が会計監査人です。
②左から右に向かって役が役会になります。(規模が大きくなるイメージです。)
③1~3段目の右端はマルです。(意味は後で解説します。)
④矢印は上にだけ向かいます。(左右には進んだり、戻ったりはできません。)
step2 基本ルールを覚えよう
次に基本ルールを覚えましょう。
基本ルールは3つです。
①全て株主総会からスタートします。
②矢印の方向にしか進めません。(上への一方通行で、戻ったり、横に行ったりはできません。)
③四角に辿り着くまで進み続けます。(マルでは終われません。)
※四角から更に上の四角に進むことは可能です。
step3 特別ルールを覚えよう
次に特別ルールを覚えましょう。
特別ルールは4つです。
①大会社は必ず会計監査人まで辿り着く必要があります。
②公開かつ大会社は監査役から会計監査人のルートは使えません。
③公開会社は必ず取締役会を通過する必要があります。
④非公開会社かつ非大会社だけは取締役会から会計参与のルートを使うことができます。(会計参与に進んだ場合はそこで終了です。)
以上です。
いかがですか?
一つ一つ文字で覚えるよりもはるかに少ない暗記量で足りませんか?
これだけで機関設計の問題が解けます。
全ルート
最後に全ルートを確認しておきましょう。
例題
平成24年度の経営法務の問題を例に、具体的な使い方を見ていきましょう。
例題(平成24年度 経営法務 第18問)
ア 株式会社が委員会設置会社の場合は、監査役を設置することはできない。
イ 株式会社が、公開会社でも会計監査人設置会社でもない場合は、監査役を設置することはできない。
ウ 株式会社が、大会社でも委員会設置会社でもない場合は、監査役の設置は任意となる。
エ 株式会社が、大会社でも公開会社でもない場合は、監査役の設置は任意となる。
ア 株式会社が委員会設置会社の場合は、監査役を設置することはできない。
イ 株式会社が、公開会社でも会計監査人設置会社でもない場合は、監査役を設置することはできない。
以下の図の通り、監査役を設置することは可能ですのでこの選択肢は誤りです。
また、公開会社の場合には取締役会を通らなければいけないという特別ルール③はありますが、非公開会社が特定のルートを通れないという特別ルールはありません。
「公開会社でも」という選択肢の文章は受験生を混乱させるためのダミーです。
この覚え方をしていれば、関係ない文章であることが簡単に見抜けますね。
ウ 株式会社が、大会社でも委員会設置会社でもない場合は、監査役の設置は任意となる。
非大会社で委員会を設置していないとしても、公開会社の場合には、特別ルール③により、取締役会を必ず通らなければいけません。基本ルール③により、取締役会では終われませんので、監査役若しくは監査役会を設置する必要があります。
ウの選択肢は誤りです。
エ 株式会社が、大会社でも公開会社でもない場合は、監査役の設置は任意となる。
非公開会社かつ非大会社の場合、特別ルール④により、会計参与を設置すればそこで終わることはできますが、これはあくまでも特別ルールですので、会計参与を設置しない取締役会設置会社の場合には、基本ルール③により、取締役会では終われず、監査役若しくは監査役会を設置する必要があります。
エの選択肢も誤りです。
以上です。
慣れるまで自分で図を書いて取り組んでみてください。
驚くくらい簡単に解けると思います。
これで4点確保です。
意外と出題されない?
予備校の模擬試験や想定問題集ではよく出題される機関設計に関する問題ですが、実際には出題実績はあまり多くありません。
特に、近年の経営法務は難易度が上がる傾向にあり、単に暗記をしているだけで解ける問題というのは減少傾向にあります。
機関設計はこの図で対応できますので、次の論点に時間を充てるようにしましょう。
以上、参考になれば幸いです。
※簡易組織再編、略式組織再編の覚え方についてはこちらをご覧ください。
暗記が中心となる経営法務その中でも簡易組織再編、略式組織再編は、適用できるケースとできないケースや譲受会社、消滅会社等々複数のパターンが出てくるため覚えるのがとても大変です。今回は私が受験生時代に使っていた覚え方のテクニックを解説し[…]