ほぼ100%合格するといわれる二次口述試験。実際のところはどうなのでしょうか?今回は新試験制度以降(平成13年度以降)の口述試験の合格率を確認しておきましょう。口述試験の合格率二次筆記試験合格者(人)口述試験[…]
平成14年度は例外
ほぼ間違いなく合格する二次口述試験ですが、平成14年度だけは例外でした。
合格率98.0%
不合格者13名
・平成14年度の不合格者数は13名でした。
・他の年度の不合格数が0~2名、多くても5名であることを考えると明らかに多いです。
原因は1つの質問
・平成14年度口述試験において、多数の不合格者が出た原因、それはある1つの質問でした。
デファクトスタンダードとは、市場における競争の結果、事実上標準化した基準、規格のことを言い、企業経営理論の出題範囲です。(国際標準化機構等が定めた規格のことをデジュールスタンダードといい、よく比較されます。
具体例としては、ベータマックスとの競争が有名なVHS、インターネットの通信規格であるTCP/IP、LANの接続規格であるイーサネット等が挙げられます。
答えられなかったことではなく、沈黙してしまったこと
・デファクトスタンダードの意味は答えられても、具体例を挙げよと言われると即座に答えられない方も多いのではないでしょうか?
・恐らく、合格者の中にもデファクトスタンダードの意味と具体例をしっかりと答えられなかった受験生はいたと思います。
・口述試験では、難易度の高い質問も間々ありますが、重要なのは、正しい回答が出来るかということよりも、問題なくコミュニケーションが出来るかということです。
・この質問に解答できず不合格となった受験生は、問題に答えられなかったからではなく、沈黙してしまったから不合格になってしまったのです。
試験の情報が殆んど無かった
・現在では、口述試験でどのようなことを聞かれるか、分からない時にどうすれば良いかといった情報がネットで容易に手に入ります。
・恐らく今の受験生であれば仮にデファクトスタンダードが分からなかったとしても、「分からないので他の質問にしてください。」「デファクトスタンダードとはどのような意味でしょうか?」というように切り返すことが出来るでしょう。
・少なくとも何も話すことが出来ずに不合格になってしまうということは無いでしょう。
・ところが、平成14年度の口述試験は、新制度(平成13年度~)になってから2度目の試験です。
・当時は口述試験に関する情報が少なく、こういった情報を予め入手できていなかったと思われます。
制度自体が浸透していなかった
・口述試験の面接官は、公募によって集められた中小企業診断士(=一般の方)です。
・今でこそ「口述試験はしっかりとコミュニケーションが取れることの確認のための試験であり、落とす試験ではない。」という共通認識がありますので、仮に回答に困っている受験生がいた場合には、違った質問の仕方をしたり、例示をしたり等、受験生が沈黙しないように(不合格にならないように)助け舟を出してくれます。
・当時はそういった認識が浸透しておらず、積極的に助け舟を出すということもなく、合否の判断基準も厳しかったのではないかと思われます。
本番当日の対策はしっかりとしておくこと
・この話から学ぶべきことは、「本番当日に想定外の事態が起きたとしても対応できるように、しっかりと対策をしておくこと」です。
・恐らく、沈黙してしまった受験生は前年度の合格率がほぼ100%(不合格者1名)だったため、「まず不合格になることは無いだろう。」という気持ちでいたところ、想定外の質問をされ、どうしたら良いか分からなくなってしまったのでしょう。
・こういった想定外の事態が今度の口述試験で起こらないとは限りません。
・二次試験には科目合格制度はありません。合格率ほぼ100%の試験とはいえ、不合格になればまた筆記試験からやり直しです。
・対策はしっかりとするようにしましょう。
以上、参考になれば幸いです。