実際の得点は70点でした。
各事例の解き方については後日アップさせていただく予定です。
少し長いですがお付き合いください。
ステップ1 設問の確認
まずは問題と配点を確認します。
大問が4つ、設問が5つ、配点を確認すると第1問20点、第2問40点、第3問20点、第4問20点。恐らく各設問20点ずつでしょう。
優先すべき問題、落とせない問題は無いので、同じ熱量で取り組みます。
次に解答字数を確認すると合計500字。
おおむね例年通りでの文字数ですので、いつものタイムマネジメントを意識して取り組みます。
第1問
第1問(配点20点)
研究開発型企業であるA社が、相対的に規模の小さな市場をターゲットとしているのはなぜか。その理由を、競争戦略の視点から100字以内で答えよ。
ポイント①:設問のキーワード「研究開発型企業」
「研究開発型企業である」というキーワードに注目します。
平成26年度事例1の精密ガラス加工メーカーの事例でも出てきたキーワードですね。
研究開発型企業とは、販売力では大企業に敵わない中小企業が、コアコンピタンスである技術力を向上させることにより、大企業と差別化を図り、生き残っていくビジネスモデルです。技術力の向上と従業員の教育が重要です。
「A社が」でも設問として成立するのに、あえて「研究開発型企業である」と記載しているのは、研究開発型企業の特徴を踏まえて設問に取り組んでほしいという出題者の意図があるのではないかと考え、これを念頭に読み進めます。
ポイント②:解答の制限「競争戦略の視点から」
「競争戦略」が、ポーターの競争戦略(コストリーダーシップ戦略、差別化戦略、差別化集中戦略)なのか、コトラーの競争地位別戦略(リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャー)なのか判断がつきませんでしたが、設問に「規模の小さな市場をターゲットとして」とあるので、重要なのはニッチな市場をターゲットした理由(恐らく大企業との競争回避、差別化)であって、戦略の名前はそこまで重要視されないだろうと開き直ります。
第2問
第2問(配点40点)
A社の事業展開について、以下の設問に答えよ。(設問1)
A社は創業以来、最終消費者に向けた製品開発にあまり力点を置いてこなかった。A社の人員構成から考えて、その理由を100字以内で答えよ。
ポイント:解答の制限「A社の人員構成から考えて」
最終消費者に向けた製品開発を行うためには、最終消費者と直接の接点が重要です。直接の接点があることにより、ニーズを拾い上げ、製品開発に活かしていくことができます。
第1問の「研究開発型」というキーワードを踏まえると、恐らくA社は技術者が多く、販売、営業機能が弱いという事例1お決まりのパターンだろう、接点がないがゆえに、最終消費者向けの製品開発を行っていないのだろう。とあたりをつけて読み進めます。
(設問2)
A社長は経営危機に直面した時に、それまでとは異なる考え方に立って、複写機関連製品事業に着手した。それ以前に同社が開発してきた製品の事業特性と、複写機関連製品の事業特性には、どのような違いがあるか。100字以内で答えよ。
技術力はあったものの、ビジネスモデルがマッチしていないため、経営危機に陥った→ビジネスモデルを改めることにより、危機を脱出することができた。そのことを念頭に読み進めます。
第3問
第3問(配点20点)
A社の組織改編にはどのような目的があったか。100字以内で答えよ。
ポイント:設問のキーワード「組織改編」
組織改編を行う理由は端的に言うと「これから採ろうとする戦略にマッチしているから。」です。
第2問が経営戦略の問題、第3問がそれに関連した組織の問題と想定すると、第2問の経営戦略を進めるにあたって都合が良い組織に改編したんだろうと考えながら読み進めます。
第4問
第4問(配点20点)
A社が、社員のチャレンジ精神や独創性を維持していくために、金銭的・物理的インセンティブの提供以外に、どのようなことに取り組むべきか。中小企業診断士として、100字以内で助言せよ。
ポイント:設問のキーワード「金銭的・物理的インセンティブの提供以外に」
事例1で人事施策といえば「従業員の能力とモラールの向上」です。
開発研究型企業ということを考慮すれば、技術力やモラールの向上に繋がる施策、具体的には外部研究機関への派遣や研究に関する権限移譲が解答の骨子になるだろう、外部組織が出てきたら解答に使おうと考えながら問題を読み進めます。
ステップ2 設問構造の確認
設問構造を考えます。
第1問で競争戦略の視点からということを問われていますので、ここが環境分析(SWOT分析)
第2問は経営戦略に関する問題
第3問は組織に関する具体施策
第4問は人事に関する具体施策
でしょう。
ここまで約8分くらいです。
ステップ3 与件文の確認
これだけやってからようやく与件文の確認に入っていきます。
第1段落 4行目
「現在のA社は(中略)開発に特化し、基本的に生産を他社に委託し、販売も信頼できる複数のパートナー企業に委託している、研究開発型中心の企業である。」
・やはり営業窓口、顧客接点はない企業ですね。
・「現在の」ということは、過去はそうでなかったということ。第2問あたりに繋がるのではないでしょうか。
第2段落 3行目
「同社のコアテクノロジーであるセンサー技術が評価」
・コアコンピタンスですね。ここをいかに伸ばすか、活用するかということが重要になりそうです。第1問で使いそうです。
第2段落 7行目
「当時は(中略)依存していた。」
・でました。「依存」です。
・「当時は」というキーワードからも、依存していたことにより経営が立ち行かなくなり、これを脱却するためにビジネスモデルを根本から見直したという流れが想定されます。
第3段落 2行目
「A社の売上も大幅に落ち込んだ。」
第3段落 5行目
「チャレンジせざるを得ない状況に追い込まれた。」
・やはり依存していたことにより、業績が悪化し、ビジネスモデルの転換を図らざるを得なかったんですね。それが今のA社を支えている。第2問を考える上で重要になりそうです。
第4段落 1行目
「A社は存続をかけて、ニッチ市場に向けた製品(中略)」
・ここで、ミニリーダー戦略として解答しようと判断しました。
第4段落 5行目
「開発した製品を販売した時点で取引が完了する売切り型の事業の限界を打ち破ることを目標に」
・ずばり第2問設問1で問われている以前の事業特性ですね。では複写機関連製品の事業特性とは何なのか…。第1段落6行目に「売上の6割を消耗品が占めている」とあります。また、第4段落3行目に「継続的に安定した収入源として」とあります。
・取引先に依存し、言われるがままに売切り型製品を製造していたが、環境変化によって経営危機に瀕してしまったA社、この反省を生かし、消耗品を継続的に販売することが可能な製品を開発、市場に投入することにより、安定的な売上を確保できるビジネスモデルへの転換を図った。これが解答の骨子になりそうです。
第7段落 2行目
「技術者が9割近くを占めている。」
・やはり、営業機能はなさそうです。過去問のパターンでいけば営業部を作ることが解答になりそうですが、今回の「研究開発型企業」というテーマに鑑みればそれは題意を外していそうです。
第8段落 2行目
「専門知識別に部門化されていた。しかし、(中略)混成チームとした。」
・「研究開発型企業」、「混成チーム」この2つから考えられるキーワードはなんでしょうか?そうです。シナジーです。
・コアコンピタンスである技術力を生かしてビジネスモデルの転換を図ったA社、市場により付加価値の高い製品を投入していくためには、技術力をより強化していく必要あります。
・異なる専門知識を持った従業員を混成で配置することにより、新たなアイディアの創出や知識の向上などのシナジーを発揮させようとしたんですね。これはそのまま第3問の解答になりそうです。
第11段落 2行目
「受け身の製品開発の時代から、時流を先読みし先進的な事業展開を進める(中略)」
・A社が進むべき道は営業力を強化することではなく、技術力をより高め、他社と差別化を図っていくことだろうという予想が確信に変わります。
ステップ4 A社のあるべき姿、目標とすべきゴールを考える
・A社のあるべき姿、目標とすべきゴールを考えることにより、一貫性のある解答を作り上げることができます。
といったところでしょうか。
ここまで試験開始から30分
与件文を見直しながら解答の骨子を作っていきます。(30分)
残り30分 解答を書き出します。
【私の再現答案】
第1問
※設問に「競争戦略」というキーワードがあるので、念のため戦略名を記載しました。
※ドメイン(誰に、何を、どのように)を意識して解答しました。
第2問(設問1)
※冗長な文章になってしまいましたが、時間内で箇条書きに分けることができなかったため、このままいきました。
第2問(設問2)
※解答欄右端には文字と句読点を一緒に描けますので、枠内に収まっています。
第3問
第4問
以上です。
いかがでしょうか。
※再現答案を転写頂くのは構いませんが、事前のご連絡とリンクをお願い致します。
参考になれば幸いです。試験頑張ってくださいね!
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