中小企業診断士

《総論》二次試験は経営診断のリハーサル

実際に診断業務を行うと、二次試験は経営診断のリハーサルなんだということを改めて感じさせられます。

 

模範解答が公開されず、なかなか対策が難しい二次試験ですが、「診断報告書を作る」という意識で学習に取り組んでみると、理解しやすいのではないかと思われます。

 

今回は、実際の経営診断の流れを見ながら二次試験との関連性を確認していきましょう。

 

経営診断の流れ

最初に経営診断の流れを確認していきます。

①経営者ヒアリング

・経営診断では、まず経営者と面談を行い、これまでの企業の歴史や、現在の状況、今後の希望等をヒアリングしていきます。

経営者ヒアリングで重要なのは、経営者が想う将来のイメージと、企業が置かれた現在の状況を出来る限り的確に把握することです。

 

②環境分析

・次に、ヒアリング内容や財務諸表等から経営環境分析、経営資源分析、SWOT分析等の環境分析を行い、企業が置かれた状況や、強み、弱みを整理していきます。

 

③課題抽出

・分析の結果をもとに、企業の課題を抽出していきます。

 

④改善提案

・抽出した課題をどのように解決していくか、具体的な改善方法の提案を行います。

・診断報告書を作成し、経営者にプレゼンを行います。

 

経営診断チームで行う

・経営診断は通常、チームで行います。診断報告書は、①経営戦略、②組織・人事、③マーケティング、④運営管理(製造業の場合)、⑤財務会計のパートに分かれており、パート毎に分担して受け持ちます。

 

二次試験は経営診断のリハーサル

・経営診断の流れと二次試験を比較してみると、とても似ていると思いませんか?

 

経営診断

 

①経営者ヒアリングは与件文

・二次試験では経営者ヒアリングを行うことはできませんので、代わりに与件文が与えられます。

 

②環境分析は与件文分析

・経営診断では、経営者からヒアリングした内容や収集した資料に基づき環境分析を行いますが、二次試験では、与えられた与件文の内容を整理、分析し、事例企業の置かれた状況を把握していきます。

 

③課題抽出は設問文

・経営診断では、中小企業診断士が企業の課題を抽出していきますが、二次試験では、設問文として課題が与えられています。

 

④改善提案

・課題をどのように解決していくか。経営診断の場合には「診断報告書」として提出しますが、二次試験の場合には「解答」として提出します。

・診断報告書の各パートは、二次試験の受験科目です。

①組織・人事は事例Ⅰ、②マーケティングは事例Ⅱ、③運営管理は事例Ⅲ、④財務会計は事例Ⅳです。

経営戦略は全ての分野において考え方の基礎になります。

 

二次試験では、科目毎の事例企業の関連性はありません。
4社の企業を診断することとなり、1社目は組織・人事を、2社目はマーケティングを、3社目は運営管理を、4社目は財務会計を担当することとなった。と考えると分かりやすいかもしれません。

経営者に相談されていると思うと考えやすい

・二次試験は、経営者に相談されていると思うと考えやすいです。

 

ご自身が中小企業診断士として、社長を前に診断報告書のプレゼンをしていると想像してみてください。

 

・人を大切にしていると言っている社長に対して、「人件費削減のため、社員をリストラしましょう。」とは言えませんよね?

・資金が少ない企業に対し、「大規模な設備投資を行い、生産性を向上させましょう!」とは言いませんよね?

 

・綿密に企業を分析し、経営者が気付いていない強み、弱み、環境変化を押さえたうえで、どうやったら他社と差別化できるか、どうしたらチャンスを掴めるかを専門知識を応用して具体的に提案すると思いませんか?

 

それこそが解答です。

 

100%経営が改善する手法はあり得ません。
そう考えると、模範解答(=「完璧な診断報告書」)が公開されないということも何となく納得できますよね。

 

二次試験対策というとテクニックに走りがちですが、「二次試験は経営診断のリハーサルである。」という大原則を忘れないようにしましょう。

原則を踏まえた各論については、別途更新させて頂きます。

以上、参考になれば幸いです。

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