一貫性

《総論》合格答案に必要な「一貫性」「合理性」「明瞭性」「具体性」

今回は、合格答案に必要な「一貫性」「合理性」「明瞭性」「具体性」について解説致します。

合格答案を作成するために必要となる重要な考え方です。

ひとつひとつ確認していきましょう。

一貫性

解答全体で1つの診断報告書

・二次試験は経営診断のリハーサルであり、解答用紙は事例企業への診断報告書です。

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中小企業診断士

・設問は4~5問に分かれていますが、それぞれの設問は密接に関連しており、解答全体として1つの診断報告書を構成しています。

・診断報告書はその内容に一貫性が無ければ、説得力が無いものになってしまい、社長を動かすことはできません。

例えば、第1問で新規顧客開拓を課題として挙げているのに、第4問の戦略で既存顧客向けのサービスの導入を提案してしまっては、内容が矛盾してしまいますよね。
これは極端な例ですが、突き詰めると内容が矛盾しているということは不合格答案に往々にしてあるミスです。

事例企業のあるべき姿を明らかにする

・一貫性を貫くのに重要なポイントは、「事例企業のあるべき姿を明らかにすること」です。

・与件文の内容から事例企業のあるべき姿(目指すべき方向性)を描き、そこにたどり着くために解決すべき問題は何か、取り組むべき課題は何かを明らかにします。

・常にこの方向性を意識して解答を作成することにより、全体の一貫性を保ちやすくなります。

合理性

達成可能な改善を提案する

・助言の目的は単に夢を語ることではなく、提案の内容を実践し、経営を改善させることです。

・診断報告書の提案は合理性つまり達成可能な内容でなければいけません。

・簡単にヒット商品を生み出せるわけではありませんし、経費を削減できるわけでもありません。新しい設備や人材を確保する資金的余力もありません。

試験対策上は、強みを活かさない提案や、与件文で触れられていない想定に基づいた解答は評価されません。

因果がはっきりとしていること

・提案の内容と結果が合理的に結びつかなくてはいけません。

A→B→Cという生産工程の改善提案を行う設問に対し、「C工程の人員を増やし、作業速度を向上させる。」という解答をしたとします。
ところが、B工程がボトルネック工程だった場合には、C工程をいくら改善したとしても全体の生産工程は改善されません。
つまり、この解答は評価されません。

・本当にそうなるのか?という疑問の余地がある解答は社長には評価されませんし、合格答案にはなりません。

明瞭性

・明瞭性つまり分かりやすさです。

伝わらなければ意味が無い

・どんなに一貫性があって、合理的な提案だったとしても、相手に伝わらなければ意味がありません。

・診断報告書(解答)を提出する相手は事例企業の社長です。

・専門用語はあくまでも診断士の中でのみ通じる言語です。社長が理解できる平易な表現に言い換えるスキルが求められます。

・社長はとても多忙です。読みづらい構成の文章や分かりづらい言い回しだらけの診断報告書を何度も読み直して理解する時間はありません。

採点に置き換えてみても同様です。
どのように採点をしているかは分かりませんが、二次試験の受験者数は毎年約5,000人です。
手分けをしたとしても、1人で数十人から数百人の答案を見ることになります。
相対評価の二次試験において、分かりづらい解答を何度も読み直して極力点数を与えるという採点姿勢は想定しづらく、同じような内容だったとしても、より読みやすい解答を書いた受験者が上位2割に入ります。

具体性

・最後は具体性です。

・事例企業に即した、具体的な提案を行うことが求められます。

社長が取り組める内容を提案する。

・診断士に求められているのは単に経営診断を行うことではなく、社長を動かし、経営を改善させることです。

・売上を上げるために客単価を上げましょう。客数を増やしましょうと言うのは簡単ですが、具体的にどうしたら良いか分からないから診断士に相談をしています。

・経営診断を受けた社長がその日から取り組めるように、具体的な行動を示す必要があります。

単に「新規顧客を増やしましょう。」という助言ではなく、
「X市では〇〇というターゲットが増加傾向なので、御社の〇〇という強みを活かして、〇〇に取り組み、新規顧客獲得に繋げましょう」というのが診断士に求められる解答(=合格答案)です。

あくまでも与件文から推測できる内容

・合理性の内容にも繋がりますが、いくら具体性が求められているとはいえ、与件文から読み取れない奇抜なアイディアは評価されません。

・与件文、設問にはヒント(=出題者からのメッセージ)が散りばめられています。

・ヒントを丹念に収集していくと、解答の方向性はある程度の範囲に収れんされていきます。

・この範囲の中でいかに具体的な提案ができるかということが合否に繋がっていきます。

一貫性:解答全体として一貫性があること
合理性:解答の内容が合理的であること
明瞭性:分かりやすいこと
具体性:事例企業に即した解答であること

以上です。

今回の内容は二次試験対策において基礎となる超重要な論点です。
今後、二次試験対策を行う際には常に心掛けるようにしてください。