経理理念の意識

《総論》二次試験合格には経営理念の意識が必須

二次試験では、経営理念を踏まえた解答をすることが重要です。

経営理念とは?

・経営理念は、一言で表すと「会社の存在意義、価値観」です。

・創業者は何らかの「目的」を持って会社を創業し、「想い」や「夢」を託しています。

「会社が何を目的に、どのような価値観を持ってビジネスをしていくか」を表したものが経営理念です。

・経営理念はスローガンや社訓のように明示的に標榜されている場合もあれば、企業文化や組織体質のように社員に黙示的に浸透している場合もあります

経営理念は「クレド」や「フィロソフィ」と呼ばれることもあります。

経営理念のメリット

・近年、経営理念の重要性が改めて見直されています。

・戦略の一貫性、社員の行動規範、ブランディングといった面で経営にメリットがあるからです。

経営理念がある企業は無い企業に比べて業績が良いという研究結果もあります。

戦略の一貫性

・戦略は一貫性を持って策定されることが重要です。

・経営理念を起点に個別の戦略を立てていくことにより、全体の一貫性を維持し、より効果を高めることができます。

社員の行動規範

・経営理念が明示され、社員に浸透していれば、社員が何らかの判断をしなければいけない時に会社の方向性に沿った選択をすることができます。つまり、社員の行動規範になります。

・自分の選択と経営理論が合致していると、それが自信になり成果に繋がりやすくなります。

ブランディング

・消費者の嗜好は日々変化しています。

・従来は、良い製品を買う、安い製品を買うという嗜好が強かったですが、グリーンコンシューマーやフェアトレードのようにその製品を作っている企業の理念に共感して購入を行うという嗜好が強まっています。

・経営理念を広く消費者に訴えることにより、企業のブランディングに繋がり、結果的にビジネスを有利に進めることができます。

製品が一切登場せず、企業の想いを伝えるだけのイメージ広告が増えているのはこのためです。
・多少割高でも環境に優しい製品を購入することにより、環境を保護していこうとする消費者のことです。
・「緑の消費者」とも呼ばれます。
・平成22年度事例2はグリーンコンシューマーをテーマにした事例でした。
・発展途上国で生産された原材料を、先進国が適正な価格で購入し製品を製造することにより、発展途上国の発展を援助していく仕組みです。

二次試験合格には経営理念の意識が必須

・二次試験に合格するためには、経営理念を意識した解答をすることが必須です。

・経営理念とずれた解答をしてしまうと低評価になってしまいます。

戦略フロー

・二次試験は与件文から事例企業を分析し、今後の方向性や戦略を提案することが求められています。

・戦略を立案する際、重要なフレームワークが戦略フローです。

戦略フローと二次試験の関係

 

・戦略フローは、抽象的な経営理念を起点に、より具体的な事業戦略や事業計画に展開していきます。

・二次試験で重要視されるSWOTはあくまでも経営戦略や経営計画を立案していく上で、内部外部環境を分析するためのフレームワークであって、経営理念の下位に位置付けられる概念です。
・戦略は全て経営理念を起点に策定されます。経営理念を把握しておかないと、解答全体としての一貫性が失われてしまい、評価されない答案になってしまいます。

経営理念は二次試験でどのように表現されているか

・経営理念は明示的に表されている時もあれば、黙示的に表現される場合もあります。

・これは二次試験でも同様です。過去出題された内容を分析するといくつかのパターンに分かれていることが分かりますので、具体例を確認していきましょう。

①明確に経営理念が書かれている

・「経営理念」というキーワードで明確に書かれているパターンです。

・大半の受験生が気付くことができますし、出題者としても「経営理念を意識して欲しい」という意図があってこその表現ですので、ここに記述された内容を踏まえていないと大きな失点に繋がります。

平成23年度事例2 第1段落
お客様の満足という経営理念のもとで、
会社の永続という経営理念では、適正な利益を確保することおよび地域社会で信頼される会社を目指してきた。

②スローガンやモットーとして書かれている

・スローガンやモットーは経営理念が伝わりやすいように、より具体的な行動や考えを表現したものです。

・二次試験対策上は「スローガン=経営理念」と捉えてしまって問題ありません。

平成28年度事例1 第1段落
A社ではこれまでも経営理念の一つとして掲げてきた「社員は宝」のスローガンの下で、

平成21年度事例1 第1段落
地元で採れた農産物を主材料とした地産地消の安全安心な菓子づくりをモットー

③社長の想いや夢として書かれている

・社長の想いや夢は明文化されていない経営理念です。

・社長自身も抽象的な会社の向性は認識できているものの、具体的な方向性が見えていないという状況です。

・このような表現があった場合には、想いや夢を踏まえた提案を行うことが求められます。

平成26年度事例1 第10段落
A社社長は、以前にも増して、研究開発力の強化なくして事業の成長も存続も望めないことを痛感するようになった

平成22年度事例2 第6段落
現社長は「経営の原点は、地元への感謝から」という経営哲学を持っていた

平成16年度事例2 第1段落

「家族の一員である愛犬たち。一緒に元気で楽しい生活を送っていきたい。」

④経営目標として書かれている

・経営目標は経営理念を数値に落とし込んだ、経営戦略や経営計画に該当します。

・経営理念ほどではありませんが、戦略フローの上位にある考え方なので経営理念同様に重要視する必要があります。

平成23年度事例1 設問4
A社は、3年以内に売上高40億円の達成を目標としている

経営理念が読み取れないこともある

・与件文から経営理念が読み取れないこともあります。

・具体例を見ても分かる通り、経営理念が書かれているのは事例1、事例2が中心で事例3、事例4ではあまり書かれません。

・組織の方向性や戦略をより意識する事例1、事例2に比べて、生産工程や計画の見直しや、財務体質の改善といったより具体的な戦略を求める事例3、事例4の違いが影響しています。

経営理念が読み取れない場合には、与件文から事例企業のあるべき姿、方向性を描き、解答を作り上げていくことが重要です。※これについては後日解説致します。

以上、参考になれば幸いです。

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