重要度:B(A>B>C)
目安学習時間:90時間
二次との関連性:低い
経営法務の特徴や難易度について
試験科目設置の目的と内容
創業者、中小企業経営者に助言を行う際に、企業経営に関係する法律、諸制度、手続等に関する実務的な知識を身につける必要がある。また、さらに専門的な内容に関しては、経営支援において必要に応じて弁護士等の有資格者を活用することが想定されることから、有資格者に橋渡しするための最低限の実務知識を有していることが求められる。このため、企業の経営に関する法務について、以下の内容を中心に基本的な知識を判定する。
出典:一般社団法人中小企業診断協会(https://www.j-smeca.jp/index.html)
経営法務の特徴
・学習範囲は、①会社法、②知的財産権、③その他企業活動に関する法律(民法、独占禁止法、国際取引等)に分かれます。
・出題範囲が非常に広く、全ての論点をカバーしようとすると膨大な時間が必要になってしまいます。
・頻出論点である①会社法、②知的財産権でいかに点数を稼げるかが攻略の重要なポイントです。
経営法務の難易度
・科目別合格率の推移を確認すると、平成26年度以降、難化傾向が続いており、平成30年度の科目別合格率は5.1%と非常に高い難易度になりました。
・平成30年度試験において8点の得点調整が行われています。「専門家への橋渡し」という科目設置の目的とずれた出題内容になっていますし、今後は、基礎知識を中心に問う出題になるのではないかと個人的に予想しています。
【経営法務科目別合格率の推移】
平成26年度 | 平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 |
10.4% | 11.4% | 6.3% | 8.4% | 5.1% |
※詳細はこちらをご覧ください。
出題の傾向
・毎年、①会社法3~4割、②知的財産権3~4割、③その他企業活動に関する法律3~4割の割合で出題されています。
・その他企業活動に関する法律に関しては出題範囲が広く難易度も高いため、①会社法、②知的財産権の分野で安定して7~8割得点できる力をつけることが重要です。
・英文契約の読解問題が1~3問出題されます。
・単純な数字の暗記で得点できる問題も数問出題されるため、基礎レベルの学習をしっかりと行うことが重要です。
二次試験との関連性
・経営法務は二次試験との関連性は殆どありません。
・最低限の学習時間にとどめ、二次試験対策や二次試験と関連性の高い科目(財務・会計、企業経営理論、運営管理)に学習時間を充てるようにしましょう。
経営法務の学習方法
目安学習時間
・経営法務の目安学習時間は90時間です。
私の平成29年度一次試験結果
学習時間:115時間
得点:56点(科目別合格率:8.4%、没問+4)〔参考〕
私の平成30年度一次試験結果
学習時間:91時間
得点:76点(科目別合格率:5.1%、得点調整+8)※平成29年度試験の際には、正答率の低い過去問も含め全ての論点を理解しようとしたり、ビジネス実務法務の学習をするなど、学習範囲を広げすぎてしましました。結果的に基礎論点がおざなりになり、科目別不合格となってしまいました。※平成30年度試験の際には、前年の反省を活かし、テキストの範囲のみを集中して学習する方法に切り替えたところ、難易度が高い中でも高得点を獲得することができました。
学習のポイント
ハマり過ぎに要注意
・学習をしていると(特に初学者の方は)、全過去問について理解をしようとしてしまいがちです。
・経営法務に限らず、中小企業診断士試験では正答率5割以上の問題をいかに落とさずに正答できるかが重要であり、正答率の低い過去問の学習は、有効な対策にはなりません。
・目安としては、科目別合格を目指す方は正答率30%以上、全体合格を目指す方は正答率50%以上の過去問に絞って学習を行い、それ以外は捨てましょう(同様の内容が出題される可能性は極めて低いです。)。
テキスト中心の学習をしよう
・私は2回経営法務を受験しましたが、実際の試験の時の感想は、「あっ、○○年度に出題されていた内容だ!」ではなく、「あー、テキストのあの辺に書いてあったな。2年だっけな、1年だっけな…。」でした。
・分かりづらくてすみません…。
・要は、経営法務は過去に問われた数字や論点が再度そのまま問われる可能性は低いということです。
・テキストに重要な論点として記載されている内容を中心に、しっかりと理解するようにしましょう。
理解はほどほどに
・確かに単なる暗記よりも理解をした方が記憶は定着します。
・ですが、経営法務の場合にはしっかりとした理解をしようとすると、法律を学問として捉えることとなり、それこそ何時間あっても時間が足りません。
・経営法務の場合は、テキストを読んで理解できないのであればそういうものだと思って次の単元に移りましょう(ネットで調べたりすると余計混乱します。)。
過去問は5年分まで
・経営法務の出題範囲は、頻繁に法改正が行われており、あまり古い過去問だとかえって学習の妨げになってしまいます。
・過去問対策は5年程度に留めましょう(平成26年に会社法の大改正が行われていますので、これ以降がお勧めです。)。
比較するクセをつけよう
・例えば、特許の異議申立期間について問われている問題があった場合、特許の異議申立期間は6ヶ月という覚え方をするのではなく、実用新案の場合には?意匠の場合には?商標の場合には?というように関連項目の場合はどうだったか。ということを意識しながら学習するようにしましょう。意識するのとしないとでは学習効果が大きく変わります。
イレギュラーな数字を暗記しよう
・経営法務では、数字を暗記できいれば正答できるという問題も出題されており、暗記を避けて通ることはできません。
・全ての数字を暗記するのは非常に大変なので、イレギュラーな数字を中心に暗記するようにしましょう。
英語は開き直るしかない
・経営法務では、毎年英文契約の読解問題が1~3問出題されます。
・果たしてこれは必要なのか。と私も大いに思うのですが…。
・英語が得意な方は得点源にすべきですが、苦手な方は過去問、模試で出てきた単語を暗記するようにしましょう。
・あくまでも英文読解であって文法問題ではありませんから、いくつかの単語が分かれば正答できる可能性はあります。
・選択肢は日本語ですので、違和感のある選択肢を勘で消すこともできます。
・それで正答できなかった場合はもうしょうがないです。
・取れたらラッキーぐらいに開き直りましょう。
ビジネス実務法務は不要
・経営法務の対策としてビジネス実務法務の学習が挙げられることがありますが、結論から言うとビジネス実務法務の学習は不要です。
・経営法務の出題内容はビジネス実務法務2級レベルですが、ビジネス実務法務2級には100時間程度の学習時間が必要です。
・出題傾向も異なります(感覚的にはビジネス実務法務は民法中心)ので、あくまでも経営法務のテキストをしっかりと仕上げましょう。
おすすめ副教材
テキストの基礎論点をしっかりとマスターしましょう。
経営法務の知識は実務では重要かもしれませんが、二次試験では全く使わない知識ですし、高得点を狙いづらく、試験対策上は、時間をかけることは有効ではありません。
基礎論点でしっかりと40~50点確保し、あとは英文や勘で10~20点取れればOKくらいの仕上げ方で大丈夫ですので、その他の科目へ時間を回しましょう。
参考になれば幸いです。試験勉強頑張ってくださいね!