転職に有利か

中小企業診断士は転職に有利か(転職コンサルに聞いた本音)

中小企業診断士は転職に有利なのでしょうか?

 

転職コンサルタントと話す機会があったので話を聞いてみました。

首都圏が中心のため、地方については分からないとのことですが、色々と本音を聞き出すことができました。

 

中小企業診断士 → 即採用 とはならない

年代によって違いはあるものの、診断士を持っているから即採用。ということにはならないそうです。

目標を持って努力をしているということは認められるものの、診断士の有資格者を求人の要件にしているという企業は聞いたことがないそうです。

例えば、診断士というとコンサルティングファームへの転職を考えられる方がいるかもしれませんが、全く未経験となるとかなり厳しいのが実情なようです。

 

コンサルティングファームに限らず、どの業界でもおおよそ同様の状況だそうです。

 

年代別に解説して頂きました。

20代の場合

20代の場合は、転職市場ではポテンシャル採用という側面が強くなるそうです。

ポテンシャル採用というのは、いわゆる第二新卒と呼ばれる新卒~5年目くらいまでの方や、30歳手前くらいまでの方が該当します。

専門知識は無いものの、向上意欲が強い方や他の人がしていない経験をしている方等、高いポテンシャルが見込まれる方で、今後教育を行えば自社にマッチし戦力なりうるということを期待して採用されます。

既に社会人としての一般常識は身に付けており、その分の教育コストを削減したうえで優秀な人材を確保することができるということを企業としては期待します。

未経験の方でも採用される可能性はありますが、学歴や今までの経験、(外資系企業の場合には特に)英語力等が採用判断の中心で、診断士はあくまでも+αの要素だそうです。

 

30代の場合

30代になると、企業は、即戦力になるということを期待して採用します。

その人のポテンシャルというよりは、今までの職歴や人脈、専門知識等が自社にマッチしており、入社後、即戦力として利益をもたらすことが可能かということが採用判断の中心になります。

全くの未経験となるとかなり厳しいそうです。(転職限界説と言われますが、特に35歳以降になると殆ど求人が無いのが実情なようです。)

コンサルティングファームは想像以上に業務が専門化されており、診断士のように幅広い知識を持っているかというよりは、例えば財務やITといった専門分野においてどれだけの実務経験があるかということの方が重要視されるそうです。

 

40代の場合

30代同様に即戦力となることが期待されますが、加えて管理職としての能力を強く期待されます

業界経験があるということはもちろん、今まで管理職としてマネジメント業務に携わってきたかということが重要視されます。

診断士を持っている持っていないは採用に殆ど影響を及ぼさないそうです。

 

そもそも40代になると、それまでの経験を活かして、コンサルティングファームからスタートアップ企業や一般企業の取締役等に就任するパターン(コンサルティングファームから出ていくパターン)が圧倒的に多く、求人自体が殆ど無いそうです。

 

転職市場の性質

但し、業界未経験で転職が厳しいというのは、コンサルティングファーム、診断士に限ったことではなく、転職市場自体の性質だそうです。

中途採用を希望する企業は、自社の社員の能力を補完し、給与以上の利益をもたらしうる人材を欲しています。

転職で採用した社員を0から育てるという意識はほぼないそうです。

(経営者サイドで考えてみたら当たり前かもしれませんね…。)

 

そもそも 資格取得 → 転職&年収アップ はない

そもそも資格を取った瞬間に転職が可能となり、年収がアップする資格はない。というのが私が話を聞いた転職コンサルタントの考えだそうです。

確かに、受かった瞬間に転職が可能となる資格も一定数存在します。

例えば、公認会計士、税理士は受かった瞬間に(場合によっては一部合格でも)監査法人や税理士法人へ、不動産鑑定士は鑑定会社への道が拓けます。

ですが、これは30代前半くらいまでの話で、それ以降だと超難関国家資格であるこれらの資格でさえ、未経験だと転職はかなり厳しいそうです。

また、転職したとしても、これらの企業には年功序列という発想が少なく、業界1年目であれば新卒でも社会人10年目でも1年目の扱いだそうです。

給与についても同様の扱いを受けることが多く、年収は下がることが多いそうです。(もちろん将来的には今よりも上がるケースは多いそうです。)

 

資格予備校や転職サイトはちょっと盛ってる?

資格予備校のHPや転職サイト見ると、診断士(診断士に限りませんが…)に受かって希望の企業へ転職できた。年収が上がった。診断士は転職に超有利ということが書かれているが…。という疑問をぶつけてみたところ、

「さすがに嘘は書かないと思うが、それ以外の要素で成功した可能性が高く、診断士合格が転職、年収アップに直結したということは考えられない。」

とのことでした…。

 

使い方によっては強力な武器になる

ネガティブな話が続きましたが、診断士は使い方によっては転職市場で強力な武器になるそうです。

大手企業になればなるほど、中小企業診断士という資格と難易度の認識は高く、自己アピールや志望動機にうまくリンクすることができればかなり有利になるそうです。

 

年代別に具体的な使い方を教えてもらいました。

20代の場合

例えば、自己アピールをする際に、

「自ら目標を立て、それを達成するための計画や手法を考え、実行できることである。」
「経営というものを体系的に学ぶために中小企業診断士を取得した。」
「中小企業診断士は合格までに1,000~1,200時間の学習時間が必要と言われるが、働きながらこれを達成するために、○○という目標を立てた。〇〇という工夫をした。」
「資格取得で学んだ知識はもちろん、目標とそこに至るまでのプロセスを明確にし、適宜修正しながら確実に達成する。という力は仕事上も大いに役に立つと考えられる。」

というように、診断士取得によって得られた知識そのものというよりは、自ら目標を立て、ひた向きに努力できる人間性をアピールすること。

 

30代の場合

こちらも自己アピールの際に、

「〇年間〇〇の業界に身を置き、〇〇という経験や〇〇という強みがある。
「加えて、中小企業診断士の取得を通じ、経営やマネジメントに関する知識を習得した。」
「今までの経験と資格によって得られた知識を活用し、経営を意識しながら業務を推進していきたい。」
「将来的には貴社の経営幹部として業界№1企業に導きたい。」

というように、それまでの経験に加えて、診断士によって得られた経営、マネジメントに関する知識をアピールすること。

新卒採用で有利なのは間違いない

学生で取得される方は少ないと思いますが、新卒採用の際、有利なのは間違いないそうです。

新卒であれば、「早くからコンサルティングファームへの就職を目指していたので、診断士を取得した、英語を学習した、○○という経験をした。」というようにかなり説得力のあるアピール材料になりそうです。

 

転職よりも内部昇進に有利

診断士は、転職よりも内部昇進に有利だそうです。

どの企業でも、経営に関して知識がある人材や、マネジメント能力が高い人材は経営幹部候補としてニーズが高いそうです。

既に自社の業務や業界知識を持ち合わせたうえに、経営やマネジメントに関する包括的な知識を学ぶ中小企業診断士を取得しているというのは、企業にとって評価すべきポイントとのことです。

 

中小企業と接する機会が多い地方銀行の中には、管理職への昇格必須要件として中小企業診断士の取得を掲げているところもあるそうです。

 

 

いかがでしょうか。

中小企業診断士の資格だけで転職することは困難ですが、

経営やマネジメントに関する知識はあらゆる会社で求められるスキルです。

今までのご自身の経験と上手く組み合わせることができれば、強いアピール材料になりそうです。

参考になれば幸いです。