診断協会[2]

【独立を目指す方には特にオススメ】診断協会の概要と入会のメリット・デメリット

二次試験に合格し、実務補習を終えると、晴れて診断士として登録が可能になります。

診断士の登録申請が完了すると入会可能になるのが中小企業診断協会です。

(登録が完了していなくても二次試験合格者、養成課程修了者は準会員として登録可能です。準会員でもサービス内容は正会員と変わりません。)

今回は診断協会の概要と入会するメリット・デメリットについて解説します。

中小企業診断協会とは?

診断士サークルです

・診断士協会は各地域で活躍する診断士が集まり、情報交換や勉強会を行う場、サークルのようなイメージです。

・ネット上でのヴァーチャルなやり取りではなく、実際に顔を突き合わせて議論するリアルな情報交換の場です。

因みに、診断協会のロゴはこれです。

中小企業診断協会ロゴ

中小企業診断士の英語表記である、Registered Management ConsultantのRとMを象徴的に表現しているそうです。

約10,000人が入会しています

・2018年度時点で診断士として登録している方は約26,000人ですが、そのうち約10,000人が診断協会に入会しています。

・東京協会の入会者数が圧倒的に多く、このうち約4,500人が東京協会の会員です。

47都道府県に設置されています

・千葉県中小企業診断士協会、埼玉県中小企業診断協会というように各都道府県に設置されています。

・東京は入会者数が多いため、中央支部、城北支部、城東支部、城南支部、城西支部、三多摩支部というように細分化されています。

中央支部(約1,500人):千代田区、中央区、港区、文京区
城東支部(約400人):墨田区、江戸川区、葛飾区、足立区、江東区
城西支部(約600人):新宿区、中野区、杉並区、豊島区
城南支部(約900人):品川区、渋谷区、世田谷区、大田区、目黒区
城北支部(約500人):台東区、荒川区、北区、練馬区、板橋区
三多摩支部(約600人):三多摩地域
因みに、協会の正式名称は一般社団法人中小企業診断協会ですが、各都道府県の協会は診断協会のこともあれば、診断「士」協会のこともあります。
厳密な使い分けは無いようで、各協会で決めているそうです。

入会は任意です

・国家資格の場合、合格後の協会への加入は強制であることが多いのですが、診断士の場合には診断協会への加入は任意です。

・診断協会へ加入していなくても診断業務を実施することも、診断士を名乗ることもできます。

入会金・年会費

・地域によって異なるのですが、東京の場合入会費が3万円年会費は5万円です。(東京はやや高めの設定です。)

・東京の場合、弁護士だと年会費が約60万円、社労士だと約10万円くらいですので、他の国家資格に比べると比較的リーズナブルと言えます。

どの地域でも自由に入会できます

・ご自宅の住所や勤務地にかかわらず、47都道府県どこでも自由に入会できます。

・複数の協会に入会することも可能です。

例えば、地元群馬で診断業務を行おうと考えている診断士が、地元の人脈作りのため群馬協会に入会し、スキルアップのために東京協会にも入会するということも可能です。

独立を目指す方には特にオススメです。

・診断士として独立、成功するためには、①人脈形成、②当面の収入を得るための業務の受託、③スキルアップが欠かせません。

・診断協会の場を上手く活用することで、これらの要素を効率よく達成できる可能性が高まります。

診断協会に入会するメリット

①人脈形成

・診断協会に入会している方は全員が診断士です。

独立診断士もいれば企業内診断士もいます。

・診断士として独立して成功するためには、診断士同士の繋がりが欠かせません。

・企業内診断士の方にとっても、様々な業界の方と人脈が形成できることで本業に活かされると思います。

②案件が受託できる

・診断協会は商工会議所や民間企業から相談を持ち掛けられることも多く、そういった案件を協会に所属する診断士に紹介しています。

・独立して間もない頃はクライアントも少なく、いかに当面の業務を受託するということが課題です。

・協会や同じ協会に所属する診断士からの案件紹介は創業初期には大いに助かると思います。

③研究会

・診断士の認知度向上に伴い、診断士に求められるレベルは高まりを見せています。

・そういったニーズに応えるため、自己研鑽を目的として各協会では「研究会」という、一つのテーマを決めて、そのテーマについて情報交換を行う取り組みが行われています。

・研究会のテーマは多岐に亘り、事業承継やIT、税制といったものから、業界研究に特化したもの、NPO活動に関するもの、英語や中国語といった語学に特化したものまでさまざまです。

・東京協会では170以上の研究会が開催されており、自分の興味や専門分野にあった研究会に参加することが可能です。

・研究会に参加している方は独立診断士、企業内診断士にかかわらず、更に自己研鑽を行おうとするモチベーションの高い方が多いです。

・研究会での活動を通じて、独立診断士や各業界で活躍する企業内診断士の生の声を聞けるというのは、診断士としてではなく、ビジネスパーソンとしてのスキルアップにも繋がります。

因みに、研究会の会費は数千円~1万円くらいです。
複数の研究会に入ることも可能ですが、定例等しっかりと活動をしていますので、負担にならない範囲(多くても3つくらい)で選ぶことをお勧めします。

④プロコン塾

・プロコン塾は「プロのコンサルタントを育成する塾」の略称で、診断士として独立を目指す方を対象とした協会主催のカリキュラムです。(東京協会中央支部ではマスターコースと呼ばれます。)

・独立診断士や民間コンサルタントを講師として迎え、コンサルタントとしてのレベルアップはもちろん、創業の仕方からクライアントの獲得方法まで、より実務に特化した内容が提供されています。

・参加費用は15万円前後と高額なものが多いですが、民間のコンサルタント養成講座を受けようとすると30万~高いもので100万くらい掛かりますので、かなり割安で提供されていると思います。

・独立したいがどうしたら良いか不安。という方にお勧めです。

⑤更新に必要な企業診断の機会を得られる

・これは特に企業内診断士の方にとってのメリットです。

・診断士の資格を維持するためには、①専門知識補充要件と②実務従事要件を満たす必要があります。

・①専門知識補充要件は座学の講習を5年間で5回受講すれば良いのですが、②の実務従事については、実際の診断業務を5年間で30日以上行う必要があります。

・コンサルタントではない企業内診断士の方にとって、診断業務を30日以上行う相手を見つけるというのは難しいことだと思います。

・協会からの診断先の紹介に加えて、同じ協会に所属する独立診断士の診断業務を手伝わせてもらうことにより、②実務従事要件を満たすことができます。

お勧めは東京協会

・どの協会に入会するか悩んでいる方は東京協会のいずれかの支部に入会することをお勧めします。

・入会者数、研究会数、受託業務数いずれも圧倒的に多いです。

東京協会の会員数は約4,500人ですが、地域によっては100人に達しない協会もあるようです。

・遠方で全く通えない、業務に対応できないとう方以外は、東京協会への加入をお勧めします。

スプリングフォーラム

・東京協会では、毎年4月中旬に前年度の診断士合格者を主な対象として、スプリングフォーラムを開催しています。

・スプリングフォーラムでは、研究会や同好会の紹介等が行われており、さながら新入生歓迎会といった感じです。

毎年1,500人前後の診断士が集まる大規模なイベントですので、診断協会のイメージが沸かない方は是非参加してみると良いと思います。

入会によるデメリット

・入会によるデメリットは費用が掛かることです。

・東京の場合、入会費+年会費で8万円の費用が掛かります。

・せっかく協会に加入しても、うまく活用できない場合にはただの出費になってしまいます。

入会しないデメリット

・入会しないデメリットは直接的にはありませんが、あえて言えばメリットで挙げた恩恵が得られないことです。

・入退会はいつでも自由にできますので、あくまでも自己研鑽のために取ったという方や、全く業務に関係が無いという方は焦って入らなくても良いかも知れませんね。

 

・診断協会は診断士同士の交流と自己研鑽を目的に各都道府県に設置された組織。
・勉強会やプロコン塾などが開催されている。
・費用は決して安くないが、有効活用できるかどうかによって、無駄にも有益にもなる。

以上、参考になれば幸いです。